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6 幸せの三つの音

楠本憲吉 (俳人)

ご指名にあずかりました、楠本憲吉でございます。
 
さきほどから大変、高いお席をいただき恐縮しておりますのに、また早速にご挨拶のご指名をいただき、ますます恐縮しておりますが、せっかくのご指名でございますので、ひとことお祝いの言葉を申し述べさせていただきます。
 
新郎、新婦。本日のご披露宴、まことにお目出度う存じます。
お二方のご両親、さぞかしおよろこびこの上なきことと存じあげます。
 
わたしがこのはえある宴席にお招きを受けましたのは、本日の新郎が大学で私のゼミナールの教え子であり、「奥の細道」を専攻され、極めて優秀な成績でご卒業され、研究室にお残りになり、私の助手として、存分のご活躍を下さった縁由によるものでございます。
 
その新婦が、このように素晴しい新郎と結ばれましたいきさつは、先刻の、お仲人のご挨拶通りでございまして、私もかねがねからそのことを仄聞(そくぶん)しており、大変、結構なご縁組と存じ、本日、そのお祝いに馳せ参じた次第でございます。
 
新婦は、大学時代を通じて、女性としては十分過ぎる「知性」を身におつけになりました。
知性というものは女性にとりましても、男性にとりましても、人間として極めて大切な要素でございますが、女性の場合、単に知性ばかり身につけ、それが勝ちすぎますと、鋭過ぎる、冷え過ぎるといって人からいやがられます。そこで、知性と同様に大切な要素が雅性(がせい)ということになります。
 
新婦は、研究室勤務のかたわら、茶道部に席を置き、裏千家の茶道を懸命に身におつけになりました。しかも、私に就いて、俳句もご勉強になりました。新婦の句に
 
  目も醒めるようなる空や雛(ひいな)の日
 
という句があったことを記憶しております。
お茶と俳句、これは切っても切れない関係がございまして、古来、お茶は日本人の文化生活の中心をなすものでございます。従って、お茶のない生活を何と申しましょうか「無茶な」と申します。その知性と雅性。この二つのバランスの取れた人のことを、安定性のある人と申します。
 
さて、新郎新婦。ヨーロッパの諺に、人生には、しあわせのための三つの音があると申します。第一の音は、ご主人が、夜、静かに読書しておられる音、本をめくっておられる音であります。第二に、そのそばで奥さんが何か創っておられる音であります。そして三番目に、そのそばで、子どもが元気に遊び戯れている音であります。
 
本日の新郎新婦に関する限り、第一、第二の音は申し分なくお持ちのことと存じあげますが、一日も早く、第三の音をお作りになるよう、切に念じて、私のご挨拶とさせていただきます。私は俳人でございますので、新郎新婦にお祝いの句を一句詠ませていただきました。失礼ながらご披露させていただきます。
 
  薔薇の香や新郎新婦珠のごと
 
失礼いたしました。

「ここ一番役立つ有名人・名スピーチ集」 より

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投稿日:2018年2月7日 更新日:

執筆者:

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